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今回は場周経路についての説明です。
目次
1. 場周経路(トラフィックパターン)とは
場周経路とは、航空機が滑走路から離陸してから再び同じ滑走路に着陸するまで、または離陸後に飛行場周辺から出発・到着する際に飛行する空港の上空に設定された滑走路を長辺とする長方形の標準飛行コースのことです。
なぜ場周経路が必要なのか?
飛行場周辺は、到着機、出発機、訓練機など複数の航空機が集中的に交錯する最も危険度の高い空域です。もし各機が自由な角度や高度で接近すると衝突の危険が高まります。大きな駐車場では入り口から出口までの通路が定められているのと同じようなものと考えてください。
- 安全確保(空中衝突の防止): 全機が同一の「見えない右回り/左回りの周回コース」を走ることで、前方および周囲の機体との位置関係を把握しやすくします。
- 効率的な運航: 管制官(管制飛行場の場合)が到着順序や着陸間隔を整流化しやすくなります。
- 着陸進入の標準化: 常に同じ高度・速度・形態(フラップや脚の出し具合)で最終進入姿勢に移行できるため、操縦エラーを未然に防ぎます。
原則として、視界の良いVFR(有視界飛行方式)での運航時に多用されますが、操縦士の基本訓練(タッチアンドゴー等)でも中核をなす手順です。
2. 場周経路を構成する5つのレグ(区間)
場周経路は滑走路を中心とした長方形を描きます。各直線区間は「レグ(Leg)」と呼ばれ、以下の5つで構成されます。
① アップウィンド・レグ (Upwind Leg)
滑走路の延長上にある区間です。
- 飛行内容: 滑走路から離陸後、向かい風(Upwind)を受けながら直線上昇します。
- 操作: 加速、上昇推力への変更、フラップの収容(該当機)、安全高度までの上昇を行います。
② クロスウィンド・レグ (Crosswind Leg)
離陸後に滑走路方向から90度旋回した横風を受ける区間です。
- 飛行内容: 滑走路軸から離れつつ、指定の規定高度(パターン高度)まで上昇を続けます。
- 操作: 旋回時の周囲警戒、パターン高度(一般に滑走路標高+1,000ft前後)への水平飛行移行(レベルオフ)。
*旋回方向は基本的には左回り止まりますが変更されることも もあります。
③ ダウンウィンド・レグ (Downwind Leg)
滑走路と平行に、離陸方向とは逆方向(追い風)へ飛行する区間です。
- 飛行内容: 滑走路とは向かい側になる長方形のもう一方の長辺です。滑走路方位に180を足した進路になります。通常滑走路からは0.5〜2マイル程度(機体のサイズによる)離れたところとなります。
- 操作:
- 並行チェック: 滑走路との間隔維持(風で流されないよう偏角を取る)。
- アブレスト(Abreast): 着陸標識(接地帯)の真横を通過するタイミングで、着陸前点検(脚下げ、ブレーキチェック等)を実施。
- 減速準備: エンジンパワーを絞り、着陸フラップを展開開始。
④ ベース・レグ (Base Leg)
ダウンウィンドから90度旋回し、滑走路の進入延長線に向かって直行する進路です。
- 飛行内容: 滑走路の着陸端より手前を横切る形で飛行します。
- 操作:
- 降下開始(通常の降下角約3度を狙う)。
- 速度管理と追加フラップの設定。
- 最終進入角(ファイナル)に入るための旋回タイミングの推量(風の影響を考慮)。
⑤ ファイナル・レグ (Final Leg / Final Approach)
ベースレグからさらに90度旋回し、滑走路中心線の延長線上に整列して接地へ向かう最終進入区間です。長方形をイメージすると90度旋回になるのですが、余裕をもってもう少し緩やかな角度でアプローチされることもあります。
- 飛行内容: 滑走路に向かって直線的に滑空降下します。
- 操作:
- PAPI(進入角指示灯)や目視基準で正しいパス(3度)を維持。
- 速度、姿勢、出力の3要素を安定させる(Stable Approach)。
- 滑走路端を通過し、フレア(引き起こし)操作を行って接地(Touchdown)。
3. 回り方・パターン高度・進入/離脱の手順
左回り(標準)と右回り
- 標準パターン(Standard Pattern): 左旋回(Left Hand)が原則です。パイロット(機長)は通常左席に座るため、左旋回のほうが滑走路を視界に捉えやすいためです。
- 右回り(Right Hand Pattern): 地形、障害物、騒音制限、隣接空域などの理由で右旋回が指定されている滑走路もあります。航行援助施設(AIP等)や管制指示で確認します。
場周経路への進入(Entry)と離脱(Departure)
他の飛行場からやってきた航空機が場周経路に入るときや、離陸して他の空域へ去るときの標準ルールです。
- 進入(Entry): 最も標準的な方法は、ダウンウィンド・レグの中央へ45度の角度で進入することです。この角度により、すでにパターン内を飛行している他機との交錯を防ぎ、ブラインドスポットを減らします。
- 離脱(Departure): 離陸後、アップウィンド・レグを直線上に離脱するか、クロスウィンド・レグから45度外側へ抜けるルートが使われます。
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